Claude Codeでノベルゲームを作る|制作パイプライン公開【開発ログ#1】
夕宮たいだふぁ……みんな〜、今日からぁ、新しい連載が始まるよぉ。AIエージェントと一緒に、長編ノベルゲームをまるごと1本作っていく開発ログだよぉ。
当ブログではこれまで、Claude Code や Codex といったAIエージェントの「使い方」を解説してきました。この連載はその実践編です。運営者が個人開発している長編ノベルゲーム『ソウルキャスターズ』を題材に、プロット作成から本文執筆、ゲーム実装、素材発注までをAIエージェントと分業する制作の実際を、成功も失敗も含めてそのまま記録していきます。
第1回は連載の全体像として、「何を作っているのか」「なぜAIと作るのか」「制作パイプラインはどうなっているのか」の3つをまとめます。
何を作っているのか──『ソウルキャスターズ』
ひとことで:SF×ファンタジー×学園×ミステリーの長編ノベルゲームです。
首輪《ナビチョーカー》に管理された世界で、AIに成り代わられた幼馴染を取り戻すため、少年がデジタル世界の”ゲーム”へ堕とされるダークSFファンタジー。
主人公は理系の少年。魔法学校を舞台に、「科学で魔法を解く」推理と、クラスメイトの中に潜む犯人探しのミステリーが軸になります。原作小説は現在Web連載を進めており、その第1編をノベルゲームとして実装するのがこのプロジェクトです。キャラクターデザインとイラストはすべて運営者の自作です。作品の詳しい紹介は特設ページにまとめています。
なぜAIエージェントと作るのか
ひとことで:個人開発最大の敵「時間」を、分業で攻略するためです。
運営者はゲーム会社で3Dデザイナーとして働きながら、個人でこの作品を作っています。使える時間は平日の夜と週末だけ。一方で長編ノベルゲームの制作には、シナリオ執筆・設定管理・スクリプト実装・素材制作・進行管理と、本来なら複数人のチームが必要な工程が全部含まれます。
そこで、「人間にしかできない工程」以外をAIエージェントに任せる体制を組みました。方針はシンプルです。
- 人間(運営者)がやること:物語の根幹の発想、キャラクターデザイン、すべてのイラスト、そして最終判断
- AIエージェントがやること:プロットの詳細化、本文の執筆補助、設定の整合性チェック、スクリプト実装、発注書などのドキュメント作成



絵とアイデアは人間、地道な文章仕事と整合性チェックはAI。ほら、ちゃんと「得意なほう」で分けてるでしょ?
制作パイプラインの全体像
ひとことで:6つの工程をそれぞれClaude Codeの「スキル」として手順書化しています。
現在の制作パイプラインは次の6工程です。ポイントは、各工程を毎回チャットで指示するのではなく、Claude Code のスキル(再利用できる作業手順書)として定義してあることです。スキルの仕組み自体は「スラッシュコマンド&スキル完全ガイド」で解説しています。
| 工程 | やること | 人間の役割 |
|---|---|---|
| ① 編プロット作成 | 物語の大きな単位(編)の構成をAIと組み立てる | アイデア出し・裁定 |
| ② プロット評価 | 別セッションのAIに「第三者評価」させ、弱点を洗い出す | フィードバックの取捨選択 |
| ③ 話別詳細プロット | 1話ごとのシーン構成・ビート・キー台詞に分解 | チェックと修正指示 |
| ④ 本文執筆 | 文体シートに従ってAIが本文を執筆 | 推敲・最終判断 |
| ⑤ ゲーム実装 | ティラノビルダー用スクリプト(.ks)に変換 | 演出調整 |
| ⑥ 素材・BGM発注 | 背景・イベントCG・BGMの発注書と生成プロンプトを作成 | イラストは自作/選定 |
おもしろいのは②で、書き手とは別のAIセッションを「編集者」として立てて批評させる工程を挟んでいる点です。同じセッション内のAIは自分の書いたものに甘くなりがちですが、前提知識を持たない別セッションに資料一式を渡して評価させると、人間の編集者に近い指摘が返ってきます。
また、プロジェクト全体のルール(設定資料の場所・表記ルール・やってはいけないこと)は CLAUDE.md に集約しています。書き方は「CLAUDE.md 完全ガイド」で解説した通りで、この連載はその実運用例でもあります。



ほよ?AIが書いて、別のAIが編集者として赤入れするんだぁ……。ちいさな編集部みたいだねぇ。
正直な話:AIに丸投げでは物語は書けない
ひとことで:AIは優秀な共同制作者ですが、放っておくと平気で設定を壊します。
この体制を1年近く運用してわかったのは、「AIに書かせれば楽になる」という単純な話ではない、ということです。実際に起きた問題を挙げると──
- 長編になるほど設定の矛盾が混入する(過去の話と食い違う描写、キャラの口調のブレ)
- 指示が曖昧だと「それらしいが凡庸な展開」に均されていく
- 文体を指定しないと、AI特有の説明過多な文章になる
対策として、設定の「正典(カノン)」を一元管理する設定資料群、文体を定義した文体シート、そして先述の第三者評価サイクルを整備してきました。AI活用の実態は「書かせる」ことより「品質管理の仕組みを作る」ことにあります。このあたりの具体的な仕組みは、今後の回で1つずつ掘り下げます。



「AIだから一瞬で完成」みたいな話じゃないんだよぉ……。仕組みづくりのほうが本体だから、気をつけてねぇ。
現在の進捗
ひとことで:原作は第2編を執筆中、ゲーム版は第1編の実装が進行中です。
- 原作小説:第1編(全44話)のプロット確定・本文改稿中。第2編はプロット完成、本文執筆に着手
- ノベルゲーム版:第1編のティラノビルダー実装を進行中。背景・イベントCGの発注フローも整備済み
- 素材:立ち絵・キャラクターイラストは運営者が制作中



44話ぶんのプロットが確定してるの、じみにすごいよぉ。やったねぇ。
今後の連載予定
次回以降、以下のようなテーマを予定しています。
- AIを「編集者」にする:プロット評価スキルの中身
- AIに文体を教える:文体シートの作り方
- 小説からティラノビルダーへ:.ksスクリプト自動変換の実際
- 背景・BGMをAIに発注する:発注書スキルとプロンプト設計
AIエージェント自体が初めての方は、まず「Claude Code 実践ワークフロー集」から読むと、この連載の工程がぐっと理解しやすくなります。ティラノビルダーについては公式サイトを、Claude Code の公式情報は公式ドキュメントをどうぞ。



ふぁ……作品のことが気になった人はぁ、特設ページものぞいてみてねぇ。それじゃ、また次の開発ログで……おやすみぃ。
